用語辞典
 用語  読み方  意味
 佐波理綴  さはりつづり  織の宝石と言われ、光を失わない唯一の織物、わずかな照明の元でも輝きを増す織物です。従来の織物と違い三次元に横糸を立体的に織り込んでいくので、古典柄の 平面的な文様だけではなく、実際の景色を表現することが可能です。次の手順で織られます。
1.撮影:写真をプロの写真家と撮影に行きます
2.図案:写真をベースにして画家の先生と帯柄にする為綿密な打ち合わせをし、経糸、横糸の数、組織、使う素材を考慮して図案に使える色数を計算しながら完成させていきます
3.紋意匠図 :織物の設計図に当たるもので方眼紙に図案を拡大して写し取り、何色もの色糸を使って、どのように織るかひと目ひと目丹念に塗り分けます
4.糸染:先染の佐波理綴にとって図案とともに重要な作業の一つです。「佐波理」は市販の糸は用いず、全て特別注文品のみを使用いたします
5.整経:たて糸の必要な長さと本数を準備する作業。佐波理綴の場合、3000から8000本ものたて糸が使われます
6.製織:つづれの組織をベースに12件もの特許技術を使いこなし、本袋で織り上げる為熟練した佐波理お綴専門の職人のみ製織します。過去に例を見ない複雑な織物のため、一越一越、色糸を重ねてジャカードを使う点が、伝統的な綴機と区別されます
7.最終仕上げ:一点生産が基本の為、織り上がった帯の最適な風合を一本一本吟味し、最終的な整理加工を経て、仕上げに出し、最初の図案と寸分変わらぬように出来上がっているか、どうかをチェックします
 更紗  さらさ  インド起源の木綿地の文様染め製品、及び、その影響を受けてアジア、ヨーロッパなどで製作された類似の文様染め製品を指す染織工芸用語です。英語のchintz(チンツ :光沢をつけたはでな模様の木綿)に相当します。日本ではインド以外の地域で製作されたものを、産地によりジャワ更紗、ペルシャ更紗、和更紗などと称しています。
 三纈染め  さんけちぞめ  纐纈染め(こうけちぞめ)、夾纈染め(きょうけちぞめ)、蝋纈染め(ろうけちぞめ)の総称です。これらは浸染(ひたしぞめ)という後染めの技法ですが、染料に浸け込むことから浸け染め、丸染めと呼ぶこともあります。 詳細はそれぞれの説明をご参照ください。
 三原組織  さんげんそしき  織物の基本となる三つの組織、すなわち平織り、綾織り(斜文織り)、繻子(しゅす)織りのことです。 更に絡み織り(捩り織り)を加えて四原組織とする場合もあります。
 三大紬  さんだいつむぎ  結城紬(ゆうきつむぎ)、大島紬(おおしまつむぎ)、その次(3つめ)は、牛首紬(うしくびつむぎ)をあげる人もいれば塩沢紬(しおざわつむぎ)をあげる人もいますし、その他の紬をあげる人もいます。 紬の「三大」には、決まった答えはないらしいです。
 三分紐  さんぶひも  「帯締め」をご参照ください。
 塩沢紬  しおざわつむぎ  「塩沢」と呼ばれる織物には四種類あります。 「越後上布」「本塩沢」「塩沢紬」「夏塩沢」です。いずれの織物にも無地、縞柄、絣があり、絹織物の一種で、伝統的工芸品指定品です。
「塩沢紬」は新潟県塩沢地方で18世紀後半からある越後上布の絣や縞の技法を麻から絹へ原料を替えて織りついだ紬織物で、経糸に小節(こぶし)のある光沢の少ない玉糸を選び,緯(ぬき)糸に真綿手紡糸を使った精巧な十字絣(蚊絣)が特徴です。絣糸と地糸を混ぜて柄をおさえた表現が、紬地と合って上品な渋さを持ちます。
「本塩沢」は塩沢御召を指し、地緯に御召(おめし)緯を入れたものです。
 四君子文様  しくんしもんよう  高潔で気品がある4つの植物、蘭(らん)、竹、梅、菊を組み合わせた文様のことで、中国では吉祥文様として扱われ、また春は蘭、夏は竹、秋は菊、冬は梅と四季を通じて画題の題材として用いられます。四君子文様は4つの植物がすべて揃った文様をさすので、いずれかが描かれたものはそのように呼びません。吉祥文様なので、礼装の着物や袋帯に用いられます。
 刺繍  ししゅう  刺繍は糸で模様を表現するので立体的で、とても豪華な印象になります。刺繍をする帯地としては、斜子(ななこ)織、繻子(しゅす)織、紋織、綴、金箔・銀箔の無地などを用い、手刺繍や機械刺繍の加工がなされます。技法では糸の光沢を活かした「すが縫」、糸に結び目を作り点によって模様を表現する「さがら縫い」が多く用いられています。中国の蘇州(そしゅう)刺繍なども有名です。
 しじら織り  しじらおり  縮(ちぢみ)織の一種です。張力を異にした糸を用いて平織にし、ゆるくした糸を縮ませて仕上げたもので、布の表面が波状になります。 絹・綿織物があり涼感があるので夏の着物地にします。
徳島県産の阿波しじら織りが有名です。
 下襲  したがさね  女性と男性を分けて説明致します。
女性では、正礼装の着物である黒留袖、振袖などの下に重ねて着るものをいい、本襲(ほんがさね)と比翼(ひよく)仕立てがあります。下襲は正礼装の着物の下に重ねて着るのですが、正礼装の着物である喪服には「(不幸が)重なる」と嫌われ、最近では下襲を着用したり比翼仕立てをしないようです。
男性では、束帯及び布袴装束のとき袍(ほう:公家の装束の盤領 (まるえり) の上衣)と半臂(はんぴ:袖なし)の間に着る衣服です。身頃は二巾、襟は打ち合わせのあるもので脇は縫われていませんが、後身頃の裾を長く仕立てています(続裾)。この裾は身分差などを表現するようになって極端に長くなり、邪魔にならないように別仕立て(別裾)にするようになりました。 鎌倉時代には臣下は皆別裾になりましたが、天皇と皇太子のみは昔ながらの続裾を用いています。
 尺貫法  しゃっかんほう  1寸(すん)≒3.03cm
1尺(しゃく)=10寸≒30.3cm
1丈(じょう)=10尺≒3.03m
1間(けん)=6尺≒1.818m
1町(ちょう)=60間≒109.09m
1里(り)=36町≒3.927㎞
※和裁用の鯨尺とは異なります。
 斜文織  しゃもんおり  綾織りとも言います。 たて糸またはよこ糸のうきが斜めに続いて,織り目が斜めにあらわれる織り方です。地合が密で厚く,しかも地質は柔らかく,皺(しわ)がよりにくいです。
 寿光織  じゅこうおり  株式会社竹下利(たけしたり)という会社の登録商標で、白生地の品質を重視した高級呉服絹織物です。
風合いのいい無地生地(地紋がないという意味)に縫い取りといって、色糸を織りこんであります。
その糸は染まらない糸なので、始めは薄色もしくは染めないで数年間着て、中濃度に染めて、濃い色に染めて、最後は黒に染めることもできます。
 繻子  しゅす  サテンとも言います。繻子織りにした織物です。絹を用いた本繻子のほか,綿繻子・毛繻子などの種類があります。天正年間(1573~1592)に京都で中国の製法にならって初めて織られました。
 繻子織  しゅすおり  朱子織とも書きます。経糸(たていと)・緯糸(よこいと)五本以上から構成される、織物組織(三原組織)の一つである。経・緯どちらかの糸の浮きが非常に少なく、経糸または緯糸のみが表に表れているように見えます。密度が高く地は厚いが、斜文織よりも柔軟性に長け、光沢が強いです。ただし、摩擦や引っかかりには弱いです。
 丈二帯  じょうにおび  長さが1丈2尺あるところから丈二帯と呼ばれています。全通で織られているので、成長の途中であるお子様にもサイズを選ばず結びやすい帯です。七五三や十三参りにも使えます。
また、どんな結び方をしても柄が上手く出るので踊り帯にも適しています。
 紹巴織  しょうはおり  茶道文化を大きく開花させた『千利休』の弟子であり、連歌師で茶人の『里村紹巴』(さとむらしょうは・1524~1602)は、所有していた書画や茶道具の数々の名品等を包むものとして、織物を愛玩し、気品ある織物を数多く集めていました。
それらの『里村紹巴』のコレクションの織物を総称して、『紹巴』織といいます。
『紹巴』織は、高級品として代表的な「つづれ織」に似ていて、緯糸(ぬきいと)が経糸(たていと)を包み覆うような織り方であり、緯糸によってのみ、柄デザイン・配色を織り上げています。
従って、きもの着用の帯として締められた時、他の織物の帯と比較して緯糸同士の摩擦が大きいので「絹鳴り」がして、ゆるみにくく、締めやすいのが特徴となっています。
 蜀江文  しょっこうもん  蜀江は中国の蜀(中国の三国時代に魏、呉と共に三国時代を形成した国)の首都を流れる河で、この地域では古くから良質の絹織物を産出し日本にも輸入され「蜀江錦(蜀錦(しょっきん))」としてもてはやされ、そこから蜀江文と呼ばれるようになりました。緋地に黄・藍・緑などを交えて、連珠円または格子内に花文・獣文・鳥文などを配した文様のもの、主に明代に織られた八角形の四方に正方形を連ね中に花文(蜀江華文)・竜文などを配した文様のものがあります。
 信州紬  しんしゅうつむぎ  長野県全域で生産される織物で、1975年2月17日に、経済産業省(当時の通商産業省)から伝統的工芸品として指定されました。 生産する地域によって、「松本紬」、「上田紬」、「飯田紬」、「伊那紬」、「山繭紬」などと呼ばれており、これらを総称して「信州紬」と呼んでいます。 産地組合は長野県織物工業組合です。
 素描き  すがき  絵などを彩色を施さずにかくこと、また、その絵のことをいいます。
 数寄屋袋  すきやぶくろ  お茶席に必要なふくさや懐紙、扇子、楊枝などの小物をまとめて入れる 袋のことです。
 すくい織  すくいおり  綴(つづれ)に似た技法で、主に紬糸を用いて織った織物です。木製の舟形をした織機用具の杼(ひ:縦糸の間に横糸を通す織機の用具の一つ)に緯糸(よこいと)を通して、経糸(たていと)をすくいながら下絵の模様に織っていく技法で、綴織に近いものです。絵画的な表現ができることが特徴です。多くのすくいの帯は紬糸で織られた、しゃれ帯です。
 総浮  そううけ  博多織伝統七品目の1つです。
重ね織で、「浮けたて」により表された紋を用いています。