用語辞典
 用語  読み方  意味
 博多織伝統七品目  はかたおりでんとうななひんもく  博多織は、華麗で優美なあでやかさを持ちながら、緻密で厚みと張りのある生地に織り上がっていることが特徴で、古くから和服や浴衣の帯として重宝されてきました。
模様や織りの技法の違いにより、下記の博多織伝統七品目がございます。 ・献上(けんじょう)
・平博多(ひらはかた)
・間道(かんどう)
・重ね織(かさねおり)
・総浮(そううけ)
・綟り織(もじりおり)
・絵緯博多(えぬきはかた)
それぞれに一級品の証とされる「伝統マーク」を使用した伝統証紙が貼付されています。
https://hakataori.or.jp/about/shosh
 箔使い  はくつかい  丸帯、袋帯、名古屋帯などの帯に、金箔や銀箔などを細く切り糸状にしたものを、芯糸に巻きつけて撚り、竹のへらの先に引っ掛け、一本一本、模様になるよう織り込んでいきます。色糸と金箔で模様を織り出した、箔一丁も光沢が素晴らしい帯で、豪華なプラチナ箔のものや喪の帯などもあります。
 八掛け  はっかけ  袷の着物の裾の裏につける布です。
前後の身頃の裾裏に4枚、衽の裏に2枚、襟先の裏側に2枚つけるので、合計8枚掛けることから、八掛といいます。裾回しともいいます。
本来は裾につけていたものですが、袖口にも同じ裏布が用いられるようになりました。着物の表地が傷まないように保護し、裾捌きがよくなるようにつけます。歩いたり座ったりするときに目に触れることも多く、裾や袖口の色のアクセントにもなるため、こだわると隠れたおしゃれになります。同系色や同系色のぼかしをつけたり、反対色を選んだりと好みで選べます。留袖や訪問着の場合は、共布の裾回しとなります。
 八寸名古屋帯  はっすんだごやおび  八寸袋名古屋帯の仕立て前の帯の幅は、30cm前後。クジラ尺で約8寸である事から八寸袋名古屋帯と呼ばれます。九寸名古屋帯は、元々は広めに織ってある生地を端を折る事によって着用者の体系に合わせた巾に仕立てるのに対して、八寸名古屋帯は、生地の巾そのままで仕立てます。

 華唐草  はなからくさ  唐草文様は、生命力が強く途切れることなく蔓(つた)をのばしていくことから「繁栄・長寿」などの意味があり、縁起のいい文様とされています。 華唐草の柄は、花や葉と組み合わせ、とても華やかな文様にアレンジされたものです。
 半幅帯  はんはばおび  普通の帯幅は30.2cmですが、この半分のものを半幅帯と呼んでいます。最初から半幅帯に織られたものは幅16cm、長さ3m60cm前後ですが、並幅のきれ地を半分に折って仕立てる場合は広くも狭くも仕立てることができます。半幅帯は、主に普段着や羽織下、浴衣の帯として用いられます。
 引染め  ひきぞめ  刷毛(はけ)に染料をつけて引いて布を染めることをいいます。友禅や暖簾(のれん)などの地染めに用います。刷毛染めともいいます。
 疋物  ひきもの  1疋を単位として売買される織物です。1疋=2反。1反は着物一枚分の用布です。
詳細は「反物」をご参照ください。
 単衣  ひとえ  季節による着物の種類の一つで、涼しさを呼ぶものを指します。生地を二枚縫い合わせた裏地のある袷(あわせ) に対して、一枚だけのものを言います。
 単帯  ひとえおび  単衣用に作られた帯で、紋織りや手織りのものは初夏と初秋、盛夏には紗織りや絽つづれ、羅などのものを用います。
 開き仕立て  ひらきじたて  名古屋帯の仕立て方で、手先まですべて開いた仕立て方。平仕立てとも言います。
 平博多  ひらはかた  博多織伝統七品目の1つです。 地組織はたてうね織で、よこ糸の打ち込みに「手投杼(てなげひ)」「引杼(ひきび)」「追杼(おいび)」という方式が用いられた織りです。
 ビロード織り  びろーどおり  「輪奈織り」をご参照ください。
 備後絣  びんごかすり  広島県福山市新市~福山市芦田町で製造されている絣です。綿が主で、絹、ウールも生産されていたことがあります。現在(平成23年3月現在)は、綿だけの生産となっています。
元々、福山城主水野勝成によって、福山沿岸部一帯は棉花の栽培が奨励されていました。江戸時代後期の文久年間に広島県福山市芦田町下有地谷迫在住の富田久三郎が中田屋万兵衛から「キシ縞(じま)」という浅黄(あさぎ)絣の絹織物を見せられ、これにヒントを得、手引糸を使って縦糸の一部を竹の皮でくくり、それを染めて井桁(いげた)絣を考え出したのが、備後絣の初めです。久留米絣の技術を応用したという文献もあります。当初は文久絣とも呼ばれ、女性用の耕作作業着として用いられました。
明治以降全国に進出し、太平洋戦争中の中断をはさんで昭和35年(1960年)には年間三百三十万反を生産、国内の絣生産の7割を占めました。当初は綿が主体であったが、次第にウール絣も生産されるようになりました。生産工程の大半は家内工業で実施され、各家内工場を馬やトラックなどで製品を運搬するという非効率的な生産方法であったが、昭和50年代中頃までは、福山市芦田町では備後絣を生産する織機の音が聞こえる家庭がありました。藍染めなので虫や蛇を寄せ付けない効果があり、手紡ぎ糸の厚みのある綿生地なので、丈夫で保温性にも優れていました。
 膨れ織り  ふくれおり  立体感のある凹凸で柄を織り出した、二重織物です。二重組織の紋織が多く、強撚糸と無撚糸を混ぜて織り、織り上がりを精錬すると、強撚糸が縮み、無撚糸が膨れ上がるもので、マトラッセともいいます。無地が多く、帯地、コート地、羽尺地などに用いられます。
 袋帯  ふくろおび  表も裏も模様のある丸帯を簡略化したもので、裏を無地にすることにより軽く織られた帯です。当初は袋状に織られたので袋帯と名づけられました。格の高い柄の織り帯は礼装用に、軽い柄の染め帯はお洒落用にと幅広い用途で用いられます。幅は約31㎝(鯨8.2寸)、長さは4m17cm(1丈1尺)以上で、2重太鼓結びにする長さがあります。振袖用の変わり結びもできます。
一般的に女性用の帯を指しますが、男性用の角帯のうち袋状に織られたものも袋帯と称します。男性用では幅約10センチほどです。また、半幅(鯨4寸)袋帯もあります。
金糸銀糸を多く用いた袋帯は礼装、準礼装用に用いられ、金糸銀糸が控えめか使用しないものは洒落袋帯と呼ばれ、紬や小紋、付け下げ、色無地に合わせます。
 宝相華文  ほうそうげもん  仏教系の文様の一種です。
宝相とはバラ科に属する植物の中国名で、これを文様としたものとも、蓮華文の変化したもの、またはアオイ科のブッソウゲを文様化したものともいわれています。
優美に文様化された植物の装飾文様で唐花、瑞花ともいいます。
中国では隋、初唐の時代から用いられ、唐代に盛行、日本では飛鳥時代に盛行した忍冬文 (にんどうもん) に代って奈良時代に広く用いられ、平安時代以降にも愛用されました。
有職文様となった小葵文はこの系統に属します。正倉院の織物の図案をはじめ、白鳳時代の『橘夫人念持仏厨子』などの工芸品の装飾文様、薬師寺東塔、唐招提寺金堂、醍醐寺五重塔などの堂塔の室内装飾、唐式鏡の背文、寺院の堂内具や荘厳 (しょうごん) の装飾文様として用いられました。
彩色文様としては大部分が繧繝 (うんげん) 彩色の技法によって表わされ、独自の美しさを示しました。
 本塩沢  ほんしおざわ  「塩沢紬」をご参照ください。